新しい事業をおこすときに、許認可や届出が必要な業種というものがあります。
例えば、飲食店を開くときには飲食店営業許可を取得しないといけませんし、人材派遣業をスタートする際も、許可申請を行う必要があります。
一方、Webサービスの場合、開発を行って、公開すれば即開始!許認可や届出は一切不要!
と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、中には届出を出さないといけないものもあります。
それは、電気通信事業の届出です。
電気通信事業者とは
電気通信事業者とは、一般にはプロバイダや携帯のキャリアなど、通信関連の事業を行っている事業者のことを指します。
インフラ系のサービスを行っていない限り、Webサービスを運営している事業者が、通信キャリアと同じ業種とみなされるケースは少ないと思うかもしれませんが、電気通信事業法の電気通信役務に該当するWebサービスを運営している場合は届出が必要となります。
電気通信役務と照らし合わせてみよう
ではその電気通信役務とはどのようなものなのかというと、電気通信事業法で下記のように記載されています。
「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供するもの」
ここで大事なるのは「他人の通信を媒介」という部分です。
もし、あなたの運営するサービスが、あなたから読者へ、一方向にニュースを配信するようなWebサービスであれば「他人の通信を媒介」しているわけではないので、電気通信事業者には当てはまりません。
一方、チャットをしたいAさんと、チャットをしたいBさんを結びつけ、互いにコミュニケーションをとれるようにするメッセージアプリなどの場合はAさん、Bさんという「他人の通信を媒介」する行為を行っているので、電気通信事業者に該当します。
これって電気通信役務なの?
チャットサービスや無料通話サービスなどは、明らかに「他人の通信」を媒介しているので、電気通信役務に当てはまることがすぐにわかりますが、微妙なケースの場合はどのように判断されるのでしょう。
例えば、オンラインストレージサービスは、利用者がファイル等をオンラインストレージサービス上にアップロードし、オンラインに預けたファイルを必要なときに必要な端末で取り出せるようにします。
このようなオンラインストレージサービスの利用は、利用者1個人で利用が完結しているので、「他人の通信を媒介」しているとはみなされず、電気通信事業に該当しません。
また、チャットサービスであっても、掲示板サービスのように投稿されたものが、誰でも見れるような状態になっていれば、AさんとBさんの通信を媒介するようなことは行われず、オープンなチャットサービスは通信事業にはみなされません。
で、電気通信事業の届出はどうすればいい?
電気通信事業の届出自体は書類の提出のみで終わるため、該当する可能性がある方は、早めに届出を行っておきましょう。
申請書は総務省のホームページからみることができます。
総務省:届出書類(届出電気通信事業)
自分たちの事業が電気通信事業に該当するのかどうか、よくわからない!という方は、身近な弁護士、司法書士、行政書士の先生に相談してみましょう。
いかがでしたか?
今回ご紹介させていただいた電気通信事業の届出が必要なケースは意外に多くあるものです。
困ったときは身近な士業の先生に相談しましょう!
また、Webサービス、特に投稿型のWebサービスの場合、著作権が関連するものも多くあります。
著作権の違反は、思わぬ事態を招きかねないので、これからWebサービスを立ち上げようとしている方、あるいはもうすでにWebサービスを運営している方は、一度著作権についてのしっかりした知識を身につけることをオススメします。
身近に著作権について相談できる先生がいない場合は、下記のWebスタートアップ向けの著作権講座をご活用ください!
コメント